- 60代からでも新NISAを始めるべきか判断したい
- つみたて投資枠と成長投資枠の使い分けを知りたい
- 生活資金を守りながら、どの商品にいくら投資するか考えたい
「60代でNISAを始めても遅いのでは?」と不安に感じる人は少なくない。
結論からいえば、生活費や医療費など近い将来使うお金を確保したうえで、5年・10年単位で使う予定のない余裕資金があるなら、60代からでも新NISAを活用する価値はある。
一方で、新NISAは元本保証の制度ではない。投資した商品が値下がりすることもあり、60代では「大きく増やす」ことよりも「生活資金を守りながら資産寿命を延ばす」ことを優先したい。
本記事では、60代が新NISAを始める前に確認すべきポイント、つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け、積立額の考え方、銘柄選びの注意点を解説する。
これからの生活に不安を残さないためにも、制度のメリットだけでなくリスクや取り崩し方まで理解したうえで、自分に合った運用計画を考えていこう。
証券アナリスト 平行秀60代の資産運用では、「増やすお金」と「使う予定のあるお金」を分けることが大切です。新NISAは非課税メリットが大きい制度ですが、生活資金まで投資に回すのは避けましょう。
60代から新NISAを始めるのは遅くない|ただし生活資金を守る設計が前提


まずは、60代のNISA利用状況と、新NISAを検討する意味を確認しておこう。
金融庁の2025年12月末時点の速報では、NISA口座数は2,825万5,664口座まで増加している。NISAは若い世代だけの制度ではなく、退職前後の世代にも広く利用されている制度だ。
年代別の詳細は、日本証券業協会が公表している2025年6月末時点のデータで確認できる。60代のNISA口座数は約398万口座で、全体に占める割合は約14.8%だった。
年代別NISA口座数と新規買付額(2025年6月末時点)
| 年代 | NISA口座数(約) | 年代別割合(約) | 新規買付額 |
|---|---|---|---|
| 10代 | 15万口座 | 0.6% | 233億円 |
| 20代 | 313万口座 | 11.6% | 6,776億円 |
| 30代 | 472万口座 | 17.5% | 1兆8,050億円 |
| 40代 | 516万口座 | 19.1% | 2兆1,765億円 |
| 50代 | 525万口座 | 19.5% | 2兆2,905億円 |
| 60代 | 398万口座 | 14.8% | 1兆9,160億円 |
| 70代 | 296万口座 | 11.0% | 1兆2,146億円 |
| 80歳以上 | 161万口座 | 6.0% | 3,973億円 |
60代の口座数は50代や40代より少ないものの、20代や70代より多い。新規買付額も1兆9,000億円を超えており、60代でもNISAを活用している人は一定数いる。
ただし、周囲が利用しているから自分も始めるべき、というわけではない。60代では、退職金・年金・預貯金・住宅費・医療費・介護費・相続や贈与の予定などを踏まえ、投資に回せる資金を慎重に判断する必要がある。
60代が新NISAを検討する3つの理由
60代から新NISAを検討する理由は、大きく3つある。
老後資金の目減りに備えられる
預貯金だけで資産を保有していると、物価上昇によって実質的な購買力が下がる可能性がある。
新NISAでは、投資で得た売却益や配当金・分配金が非課税になる。通常、投資の利益には20.315%の税金がかかるが、NISA口座内で得た利益には課税されない。
同じ運用成果でも、課税口座より手元に残る金額が増えやすい点は、60代にとっても大きなメリットだ。
医療費や介護費に備えつつ、資産寿命を延ばせる
60代以降は、生活費だけでなく医療費や介護費、住宅の修繕費など、まとまった支出が発生する可能性がある。
すぐに使う予定のあるお金は現金で残しておくべきだが、当面使わない資金まで預貯金だけに置いておくと、資産を増やす機会を逃してしまう。
新NISAを活用すれば、使う予定のない資金を非課税で運用しながら、必要に応じて売却して現金化することもできる。ただし、売却時に価格が下がっている可能性もあるため、短期資金を投資に回すのは避けよう。
子や孫への資金準備にも活用できる
新NISAで運用した資産は、自分の生活資金だけでなく、子や孫への資金援助に使うこともできる。
たとえば、孫の教育資金や結婚資金を将来援助したい場合、余裕資金を新NISAで運用しておく選択肢がある。
また、暦年課税では贈与を受けた人ごとに年間110万円の基礎控除がある。ただし、贈与の方法や金額によって税務上の扱いは変わるため、まとまった贈与を考える場合は税理士などの専門家に確認しておきたい。



60代の新NISAは、老後資金を増やす目的だけでなく、使う時期を見据えた資金管理にも役立ちます。大切なのは、生活資金・予備資金・運用資金を混同しないことです。
新NISAの基本|年間360万円まで投資でき、非課税期間は無期限
2024年から始まった新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがある。
つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠は240万円で、合計すると年間360万円まで非課税で投資できる。
非課税保有限度額は1,800万円で、このうち成長投資枠は1,200万円まで利用可能だ。売却した場合は、その商品の取得価額分の非課税枠を翌年以降に再利用できる。
非課税保有期間は無期限のため、60代から始めても「数年で非課税期間が終わる」と焦る必要はない。自分の生活設計に合わせて、長く保有することも、必要なタイミングで取り崩すこともできる。
ただし、NISA口座では損失が出ても課税口座の利益と損益通算できず、損失の繰越控除もできない。非課税のメリットがある一方で、損失が税務上活かせない点は必ず理解しておこう。
60代は新NISAのつみたて投資枠を軸にするのが現実的


60代で新NISAを始めるなら、まずは「つみたて投資枠」を軸に考えるのが現実的だ。
つみたて投資枠は、毎月など一定のペースで投資を続けやすく、まとまった資金を一度に投資する不安を抑えやすい。投資経験が少ない人や、相場のタイミングを判断するのが難しい人にも向いている。
つみたて投資枠の特徴|年間120万円・対象商品は353本
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を支援するための非課税投資枠である。
対象者は日本に住む18歳以上の個人で、NISA口座は原則として1人1口座だ。年間投資枠は120万円で、毎月の積立に換算すると月10万円まで利用できる。
投資対象は、金融庁の基準を満たした投資信託やETFに限定されている。2026年4月30日時点の対象商品は353本で、販売手数料がかからないこと、信託報酬が一定水準以下であること、毎月分配型ではないことなどの条件がある。
対象商品はあらかじめ絞られているため、成長投資枠に比べると選択肢は少ない。しかし、初心者が極端に複雑な商品を選びにくいという意味では、60代にも使いやすい投資枠といえる。



つみたて投資枠の対象商品は、長期運用に適した条件を満たした商品に限られます。ただし、元本保証ではありません。値下がりしても続けられる金額で始めることが大切です。
60代につみたて投資枠が向いている理由
つみたて投資枠が60代に向いている理由は、投資タイミングの迷いを減らせることだ。
まとまった退職金や預貯金を一括で投資すると、購入直後に相場が下落した場合の心理的な負担が大きくなる。毎月一定額を積み立てる方法であれば、高いときも安いときも少しずつ購入するため、一度に買うより価格変動の影響をならしやすい。
また、投資額を後から変更しやすい点もメリットだ。年金収入や生活費の変化に合わせて、積立額を増やしたり減らしたりできる。
60代では、病気、介護、住まいの修繕など予想外の支出が起こることもある。最初から満額を目指すのではなく、生活に影響しない金額で始め、家計に余裕があるときに増額する流れが安心だ。
つみたて投資枠だけでも1,800万円まで使える
新NISAでは、つみたて投資枠だけで非課税保有限度額1,800万円を使い切ることもできる。
「成長投資枠も使わなければ損」と考える必要はない。60代で投資経験が少ない人や、個別株の値動きに不安がある人は、つみたて投資枠を中心にシンプルな運用を続けるだけでも十分に選択肢となる。
まずは、低コストで分散性の高い投資信託を選び、無理なく続けられる積立額を設定することから始めよう。
【シミュレーション】60代は新NISAで毎月いくら積み立てる?


新NISAで悩みやすいのが、「毎月いくら積み立てるべきか」という点だ。
60代の積立額は、非課税枠の大きさではなく、家計と資産全体から逆算して決める必要がある。つみたて投資枠は月10万円まで使えるが、全員が満額投資すべきわけではない。
投資額は「すぐ使うお金」と「当面使わないお金」を分けて決める
積立額を決める前に、まず資産を次の3つに分けて考えよう。
- 生活費や医療費など、すぐに使う可能性があるお金
- 住宅修繕、旅行、車の買い替えなど、数年以内に使う予定があるお金
- 5年・10年単位で使う予定がない余裕資金
新NISAに回すのは、原則として3つ目の「当面使う予定がない余裕資金」だ。
生活費や緊急時資金まで投資に回すと、相場が下落したときに損失を抱えたまま売却せざるを得ない可能性がある。60代では、運用成果よりもまず資金繰りの安定を優先しよう。



投資額は「いくら増やしたいか」だけでなく、「値下がりしても生活に困らないか」で決める必要があります。60代では、現金を残すことも重要な資産運用の一部です。
積立額を決める3つの確認ポイント
具体的な積立額を決めるときは、次の3点を確認してほしい。
1.毎月の収支に無理がないか
年金や給与、退職後の収入から生活費を差し引き、毎月いくら余るのかを確認しよう。
収支に余裕が少ない場合は、月1万円や月2万円から始めても問題ない。少額でも継続できる金額を選ぶことが大切だ。
2.数年以内に使う予定の資金を残せているか
リフォーム、車の買い替え、家族への援助、医療・介護関連の支出など、数年以内に使う可能性があるお金は現金や安全性の高い資産で残しておきたい。
新NISAはいつでも売却できるが、売却時に価格が下がっていれば損失が出る。使う時期が近いお金は投資しないのが基本だ。
3.相場が下落しても続けられる金額か
積立投資では、相場が下落したときにも投資を続けることで、安く買える期間を活かせる可能性がある。
しかし、投資額が大きすぎると、値下がり時に不安になって積立を止めてしまいやすい。金額の大きさよりも、下落時にも冷静に続けられる金額かどうかを重視しよう。
積立投資額別の運用シミュレーション
毎月の積立額別に、年率3%で運用できた場合の資産額を試算すると、次のようになる。
ここでは、毎月末に積み立て、年率3%を月割りで複利計算した。税金や手数料は考慮していないため、実際の運用成果を保証するものではない。
積立金額別資産額の推移(年率3%で運用した場合)
| 毎月の積立額 | 1年後 | 3年後 | 5年後 | 10年後 |
|---|---|---|---|---|
| 月3万円 | 約36.5万円 | 約112.9万円 | 約193.9万円 | 約419.2万円 |
| 月5万円 | 約60.8万円 | 約188.1万円 | 約323.2万円 | 約698.7万円 |
| 月10万円 | 約121.7万円 | 約376.2万円 | 約646.5万円 | 約1,397.4万円 |
月3万円でも10年間続けられれば、元本360万円に対して約419万円まで増える試算になる。
ただし、現実の投資では毎年3%で安定して増えるわけではない。株式市場は大きく下がる年もあれば、想定以上に上がる年もある。
シミュレーションはあくまで目安として使い、実際の積立額は家計に無理のない範囲で決めよう。
60代向けつみたて投資枠の銘柄候補と選び方|低コスト・分散性を優先


つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託やETFを選べる。
対象商品は絞られているものの、すべての商品が60代に向いているわけではない。銘柄選びでは、コスト、投資対象、値動きの大きさを確認することが重要だ。
つみたて投資枠の銘柄選びで確認したい3点
1.信託報酬が低いか
信託報酬は、投資信託を保有している間に間接的に負担するコストだ。
長く保有するほどコスト差は運用成果に影響しやすくなる。似た投資対象の商品で迷った場合は、信託報酬の低さを確認しよう。
2.投資対象が分散されているか
60代では、特定の国や業種に偏りすぎないことが大切だ。
米国株式、全世界株式、先進国株式など、投資対象によって値動きは異なる。1本で幅広く分散できる商品を選ぶと、個別企業の業績に左右されにくくなる。
3.株式100%の商品か、値動きに耐えられるか
人気のインデックスファンドの多くは株式100%で運用されている。長期的な成長を期待できる一方、相場下落時には大きく値下がりする可能性もある。
60代では、投資信託だけでなく、預貯金や個人向け国債など安全性の高い資産も含めて、資産全体のバランスを考える必要がある。



60代の銘柄選びでは、人気ランキングだけで判断しないことが重要です。信託報酬、投資対象、値動きの大きさを確認し、自分の生活資金に影響しない範囲で選びましょう。
つみたて投資枠の銘柄候補
ここでは、つみたて投資枠で検討しやすい代表的な銘柄を紹介する。
いずれも元本保証ではないため、「おすすめだから買う」のではなく、投資対象やリスクが自分に合うかを確認してほしい。
1.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 米国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.0814%以内(税込) |
| 特徴 | S&P500に連動する投資成果を目指す米国株式インデックスファンド |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国を代表する株価指数であるS&P500に連動する投資成果を目指すファンドだ。
米国の主要企業に分散投資できる一方、投資対象は米国株式に集中している。米国市場の成長を取り込みたい人には選択肢となるが、為替変動や米国株式市場の下落リスクもある。
2.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 日本を含む先進国・新興国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.05775%以内(税込) |
| 特徴 | MSCI ACWIに連動する投資成果を目指す全世界株式ファンド |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む先進国・新興国の株式に幅広く投資できるファンドだ。
1本で世界中の株式に分散できるため、特定の国に集中したくない人に向いている。ただし、株式100%のファンドであるため、世界的な株価下落時には基準価額が大きく下がる可能性がある。
3.楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド
| 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
|---|---|
| 主な投資対象 | 米国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.077%程度(税込) |
| 特徴 | S&P500に連動する投資成果を目指す低コストファンド |
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドも、S&P500に連動する投資成果を目指す米国株式ファンドだ。
米国株式に投資したい人にとっては、信託報酬の低さが魅力となる。ただし、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と同様に、米国株式と為替の影響を受ける点は理解しておこう。
4.iFreeNEXT FANG+インデックス
| 運用会社 | 大和アセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 米国の大型テック関連株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.7755%以内(税込) |
| 特徴 | 少数の成長企業に集中投資する値動きの大きいファンド |
iFreeNEXT FANG+インデックスは、米国の大型テック関連銘柄に集中投資するファンドだ。
高い成長を期待できる一方、投資対象が少数の銘柄に偏るため、値動きは大きくなりやすい。60代では資産の中心に据えるより、リスクを理解したうえで少額にとどめるなど慎重な使い方が必要だ。
5.楽天・全米株式インデックス・ファンド
| 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
|---|---|
| 主な投資対象 | 米国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬等 | 年0.162%程度(税込) |
| 特徴 | 大型株から中小型株まで米国株式市場全体への投資を目指すファンド |
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、米国株式市場全体への投資を目指すファンドである。
S&P500よりも幅広く、中小型株を含めた米国株式に投資したい人に向いている。ただし、投資地域は米国に集中しているため、全世界株式ファンドと組み合わせる場合は投資先の重複にも注意しよう。
60代は新NISAの成長投資枠をどう使う?余裕資金がある場合の併用方法


つみたて投資枠の月10万円を超えて投資したい場合や、個別株・ETFなどにも投資したい場合は、成長投資枠の併用を検討できる。
ただし、60代では成長投資枠を「積極的にリスクを取る枠」として使いすぎないことが大切だ。生活資金を守ったうえで、余裕資金の一部を使う位置づけにしよう。
成長投資枠の特徴|年間240万円まで投資できる
成長投資枠の年間投資枠は240万円で、つみたて投資枠より大きい。
投資対象は、上場株式、投資信託、ETF、REITなど幅広い。ただし、すべての商品が対象になるわけではなく、整理・監理銘柄、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の商品などは除外される。
また、成長投資枠の対象商品であっても、利用する金融機関によって取り扱いは異なる。購入前に、金融機関の対象商品リストを確認しよう。



成長投資枠は自由度が高い分、商品選びの責任も大きくなります。60代では、値動きの大きい商品に資産を集中させず、つみたて投資枠とのバランスを意識しましょう。
成長投資枠で投資できる主な商品
1.投資信託
成長投資枠でも投資信託を購入できる。
つみたて投資枠より選択肢が広く、株式型、債券型、REIT型、テーマ型などから選べる。ただし、手数料が高い商品や値動きが大きい商品もあるため、信託報酬や投資対象を確認することが重要だ。
2.国内株式
成長投資枠では、国内の上場株式にも投資できる。
株価が上がれば売却益を狙え、配当金や株主優待を受け取れる銘柄もある。一方で、個別企業の業績悪化、減配、株主優待の廃止、株価下落のリスクもある。
60代では、身近な企業だからという理由だけで集中投資するのではなく、業績や財務、配当方針を確認したうえで判断したい。
3.外国株式
金融機関によっては、成長投資枠で米国株など外国株式にも投資できる。
世界的な企業に直接投資できる点は魅力だが、株価変動に加えて為替変動の影響も受ける。配当金や税金の扱いも国内株式と異なる場合があるため、事前に確認しておこう。
4.ETF
ETFは、取引所に上場している投資信託である。
株式と同じように市場で売買でき、指数に連動するタイプも多い。リアルタイムで売買できる利便性がある一方、売買タイミングを自分で判断する必要がある。
5.REIT
REITは、不動産に投資する投資法人の証券を取引所で売買できる商品だ。
オフィス、商業施設、住宅、物流施設などに間接的に投資でき、分配金を期待できる。ただし、不動産市況や金利上昇の影響を受けるため、安定収入だけを目的に過度に投資するのは避けたい。
成長投資枠の銘柄候補
成長投資枠では、つみたて投資枠と同じような低コストインデックスファンドを買い増す方法と、配当・金・REITなど異なる資産を組み合わせる方法がある。
60代では、まずつみたて投資枠を中心に運用し、成長投資枠は余裕資金の範囲で使うのが基本だ。
1.楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
| 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
|---|---|
| 主な投資対象 | 米国高配当株式ETF |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬等 | 年0.1238%程度(税込) |
| 特徴 | SCHDを通じて米国高配当株式に実質投資するファンド |
楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は、米国高配当株式ETFであるSCHDへの投資を通じて、配当収益と値上がり益を目指すファンドだ。
四半期決算型のため、分配金を受け取りたい人には関心を持ちやすい商品である。ただし、分配金を受け取ると再投資による複利効果は弱くなる。分配金の有無だけでなく、資産全体の増え方も確認しよう。
2.eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 日本を除く先進国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.09889%以内(税込) |
| 特徴 | MSCIコクサイ・インデックスに連動する投資成果を目指すファンド |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは、日本を除く先進国株式に分散投資できるファンドである。
米国比率が高くなりやすい一方、日本や新興国は含まれない。全世界株式ファンドと比べて、どの地域に投資しているのかを確認して選びたい。
3.楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
| 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
|---|---|
| 主な投資対象 | 日本を含む先進国・新興国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.0561%程度(税込) |
| 特徴 | MSCI ACWIに連動する投資成果を目指す全世界株式ファンド |
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、日本を含む全世界の株式に投資できるファンドだ。
つみたて投資枠でも成長投資枠でも利用できる場合があり、低コストで世界株式に分散したい人に向いている。すでに全世界株式ファンドを保有している場合は、投資先の重複も確認しよう。
4.<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
| 運用会社 | ニッセイアセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 日本を除く先進国株式 |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.09889%以内(税込) |
| 特徴 | MSCIコクサイ・インデックスに連動する投資成果を目指すファンド |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、日本を除く主要先進国の株式に投資するインデックスファンドである。
先進国株式に低コストで投資したい人に向いているが、日本株式や新興国株式は含まれない。全世界株式との違いを理解したうえで選ぼう。
5.三菱UFJ 純金ファンド
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
|---|---|
| 主な投資対象 | 金関連資産 |
| 購入時手数料 | 金融機関により異なる |
| 信託報酬等 | 年0.99%程度(税込) |
| 特徴 | 金価格への連動を目指すファンド |
三菱UFJ 純金ファンドは、金価格への連動を目指す投資信託である。
金は株式と異なる値動きを期待できるため、分散投資の一部として検討されることがある。ただし、金は配当や利息を生まない資産であり、価格変動もある。60代では、株式ファンドの代わりではなく、資産の一部として慎重に組み入れる考え方が望ましい。
60代の新NISA活用術|運用中と取り崩し時の注意点


新NISAは使いやすい制度だが、60代には60代に合った運用方法がある。
特に意識したいのは、リスクを取りすぎないこと、取り崩し方を考えておくこと、NISA特有の税制上の注意点を理解することだ。
株式比率と現金比率を決めておく
60代の投資では、どの商品を買うかだけでなく、資産全体のうちどれだけを投資に回すかが重要だ。
たとえば、資産の大部分を株式ファンドにすると、相場下落時に老後資金が大きく減ったように感じ、不安が強くなる可能性がある。
一方で、すべてを預貯金に置いておくと、インフレによる実質的な目減りが気になりやすい。
大切なのは、自分が安心できる現金比率を確保したうえで、余裕資金を投資に回すことだ。株式ファンドに投資する場合でも、生活費や緊急時資金は現金で残しておこう。



60代の資産運用では、投資商品の選択よりも資産配分が重要になることがあります。現金をどれだけ残すかを決めてから、NISAで運用する金額を考えましょう。
取り崩しながら運用を続ける計画を立てる
60代以降の資産運用では、「増やす」だけでなく「使う」視点も欠かせない。
資産をまったく取り崩さずに運用し続けると、生活のために使うべきお金を必要以上に残してしまう場合がある。一方で、早い時期に大きく取り崩しすぎると、長生きしたときに資金不足になる可能性がある。
そのため、何歳から、どの資産を、どのくらいのペースで取り崩すかを事前に考えておきたい。
たとえば、相場が大きく下がっている時期は投資信託の売却を急がず、預貯金から使う。相場が回復している時期に、必要な分だけ売却して現金を補充する。こうした方針をあらかじめ決めておくと、感情的な判断を減らしやすい。
損益通算・繰越控除ができない点に注意する
新NISAでは、投資で得た利益が非課税になる。一方で、損失が出た場合は課税口座の利益と損益通算できず、損失の繰越控除もできない。
課税口座であれば、ある投資で損失が出たときに、ほかの投資の利益と相殺できる場合がある。しかし、NISA口座内の損失は税務上の損失として扱われない。
このため、新NISAでは「利益が非課税になるから」といって、高リスクな商品に集中投資するのは避けたい。特に60代では、損失が出たときに運用期間で回復を待てるかどうかも考える必要がある。
非課税メリットを活かすには、長く保有できる商品を選び、途中で無理に売却しなくて済む資金だけを投資に回すことが大切だ。
60代から新NISAを始める不安は専門家に相談するのも選択肢


ここまで60代の新NISA活用法を解説してきたが、「どの商品を選べばよいかわからない」「退職金をどう分ければよいか不安」という人もいるだろう。
そのような場合は、資産運用の専門家に相談するのも選択肢のひとつだ。
新NISAの悩みを専門家に相談すべき理由
新NISAで重要なのは、銘柄選びだけではない。
60代では、年金収入、退職金、生活費、医療費、介護費、相続・贈与の予定、住宅費などを踏まえたうえで、どのくらい投資に回せるかを判断する必要がある。
つみたて投資枠の対象商品は353本あり、成長投資枠の対象商品も随時更新されている。さらに、利用する金融機関によって取り扱う商品は異なる。
自分だけで判断するのが難しい場合は、専門家に相談することで、資産全体の配分や取り崩し方、リスク許容度に合った商品選びを整理しやすくなる。
専門家に相談するときに確認したいこと
専門家に相談する場合は、アドバイスの内容だけでなく、相談先の立場や費用も確認しておこう。
- 相談料や手数料はどのように発生するか
- 特定の金融商品を販売する立場か、中立的な相談ができる立場か
- 退職金運用や60代以降の資産取り崩しに詳しいか
- 提案商品のリスクや手数料を明確に説明してくれるか
- 相談後も定期的に見直しをサポートしてくれるか
特に60代では、運用を始めることだけでなく、いつどのように使うかまで相談できる相手を選びたい。
運用の専門家探しなら「資産運用ナビ」
資産運用について専門家からアドバイスを受けたいとき、自分に合った相談相手をどのように見つければよいのだろうか。
そこで活用できるのが、運用の専門家を検索できるサービス「資産運用ナビ」である。
資産運用ナビでは、地域や相談内容に応じて専門家を探せる。各専門家の得意分野や保有資格、経歴、担当している顧客の年齢層や資産額などを確認できるため、自分に近い相談実績があるかを見極めやすい。
気になる専門家がいれば、そのまま相談を申し込むことも可能だ。複数のアドバイザーと話しながら、説明のわかりやすさや相性を確認するとよいだろう。
60代の新NISAは「守るお金」と「育てるお金」を分けて始めよう


60代からでも、新NISAを活用する価値はある。
ただし、60代の新NISAでは、非課税枠を最大限使うことよりも、生活資金を守りながら無理なく続けられる運用計画を立てることが大切だ。
まずは、すぐ使うお金、数年以内に使うお金、当面使わない余裕資金を分けよう。そのうえで、余裕資金の範囲内でつみたて投資枠を中心に活用するのが現実的である。
成長投資枠は、資金に余裕がある場合に併用を検討しよう。個別株や高配当ファンド、金関連ファンドなどに投資できる自由度はあるが、値動きも大きくなり得るため、資産の一部にとどめる考え方が望ましい。
また、新NISAでは損益通算や繰越控除ができない。非課税メリットを活かすには、短期的な値動きに振り回されず、長く保有できる商品を選ぶことが重要だ。
銘柄選びや退職金の使い方、取り崩し方に不安がある場合は、専門家に相談するのも選択肢となる。自分の生活設計に合った新NISAの使い方を考え、安心して運用を始めよう。



60代の新NISAは、始めること自体よりも「いくら投資し、いつ使うか」を決めることが重要です。迷う場合は、家計・年金・退職金・相続まで含めて相談できる専門家を活用しましょう。
出典
日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(2025年6月末時点)」
金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」(最終更新日:2026年4月30日)
資産運用業協会「NISA成長投資枠の対象商品」(最終更新日:2026年5月8日)
厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表を公表します」(発表日:2025年7月25日)
生命保険文化センター「老後の生活費はどれくらい?」
国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」(更新日:2025年4月1日)
三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
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