- 60代からでも新NISAを始めるべきか悩んでいる
- つみたて投資枠と成長投資枠、どちらを使うべきかがわからない
- どんな商品に、いくら投資すべきかがわからない
「60代でNISAを始めても遅いのでは?」そう考える人もいるかもしれない。しかし、新NISA(少額投資非課税制度)は60代からでも十分に活用できる。
適切な投資先を選び運用すれば、「非課税」のメリットを大きく活かして効率的に資産を育てることが可能だ。
本記事では、60代が無理なく投資を続けられる「つみたて投資枠」の活用法や投資額を見極めるポイント、資金に余裕があるときの「成長投資枠」の併用戦略を解説している。
また、専門家のサポートを受けながら、自分に合った投資計画を立てる方法についても紹介する。
これからの人生を安心して過ごすために、新NISAの知識を深め資産運用を始めてほしい。

60代からの資産運用は「守り」と「増やす」のバランスが重要です。
新NISAはリスクを抑えつつ資産形成できる制度で、老後の安心にも繋がります。長期的な活用で、生活にゆとりをもたらす効果も期待できます。
定年後でも遅くない!60代も新NISAを始めるべき理由


まずは、60代のNISA利用状況や今から取り組むべき理由について解説する。
インフレに負けず資産寿命を延ばしていくには、これから新NISAを始めたとしても決して遅くはない。詳しく見ていこう。
60代の新NISA利用状況
金融庁の最新資料によると、2024年9月時点で60代のNISA口座数は369万1,248口座に達しており、同年の6月末から約12万口座増加している。
全体に占める60代の割合は、14.7%だ。
各年齢別の口座開設数と比率を比べてみよう。
年代別NISA口座数
NISA口座数(2024年9月末時点) | 年代別割合 | NISA口座数(2024年6月末時点) | 2024年6月末時点からの増加率 | |
---|---|---|---|---|
10代 | 12万8,936 | 0.5% | 13万6,322 | -5.4% |
20代 | 287万8,530 | 11.5% | 275万0,326 | 4.7% |
30代 | 439万1,484 | 17.5% | 424万3,543 | 3.5% |
40代 | 482万6,897 | 19.2% | 467万3,816 | 3.3% |
50代 | 481万0,864 | 19.2% | 460万8,378 | 4.4% |
60代 | 369万1,248 | 14.7% | 357万2,493 | 3.3% |
70代 | 285万8,589 | 11.4% | 279万4,923 | 2.3% |
80代以上 | 149万9,673 | 6.0% | 147万2,555 | 1.8% |
表から分かるように60代のNISA口座開設比率は、他の世代に比べて著しく低いわけではない。実際、20代は11.5%と60代よりも低い水準にある。



60代の方も、資産を減らさず活かすために、制度の特性を理解し無理なく新NISAを始めることが大きな一歩となります。
長期的な視野で取り組めば、安定した資産形成が期待できます。
続いて、年代別の買付け額も比べてみよう。
年代別NISA買付額
NISA買付額2024年9月時点 | 年代別割合 | |
---|---|---|
10代 | 258億6373万円 | 0.2% |
20代 | 8920億3134万円 | 6.5% |
30代 | 2兆2961億8408万円 | 16.7% |
40代 | 2兆7815億8713万円 | 20.2% |
50代 | 2兆9233億1024万円 | 21.2% |
60代 | 2兆5520億3682万円 | 18.5% |
70代 | 1兆7341億9812万円 | 12.6% |
80代以上 | 5764億4573万円 | 4.2% |
買付けの金額では60代が全体の18.5%を占めており、40代・50代に続き大きな割合となっている。
60代のNISA利用の増加は、2014年のNISA制度開始当時、現役だった方が60代を迎え、退職金やこれまでの貯蓄を活用して資産運用を始めるケースが増えていると考えられる。
こうした背景からも、60代でも新NISAに取り組む人は一定数存在しており、決して特別なことではない。
年齢を理由に「もう始めるのは遅い」と諦める必要はなく、将来の備えとして今からでも新NISAを活用する価値は十分にあるといえる。
60代から新NISAで運用を始めるべき理由
60代から新NISAで運用を始めるべき理由は、大きく3つある。



60代は収入が限られる一方で、支出リスクが増える時期。だからこそ、運用の力で「お金に働いてもらう」工夫が必要です。新NISAは非課税で長期運用にも向いており、老後の備えに最適です。
老後資金の減少を抑えられる
資産運用で少しずつ収益を出しておくと、老後資金の減りを緩やかにできる。特に、新NISAの非課税の恩恵を受ければより多くの資金を確保できるだろう。
貯蓄だけでは、近年進行するインフレに対応できず資産価値が目減りする可能性がある。
そのため新NISAで少しでも「お金を育てておく」ことが重要だ。
医療費や介護費などの備えにもなるから
新NISAで運用する資産は、急な医療費や介護費用など予測できない支出への備えにもなる。
新NISAで投資できるのは、株式や投資信託など比較的換金性が高い資産だ。
いざというときに現金化しやすいため、安心して運用を行える。
子や孫への資産形成として活用できるから
子や孫の資産形成を支援できる側面も見逃せない。
例えば、孫の教育資金を援助する目的として、自身の新NISAで運用した資産を活かすことが可能だ。
さらに孫が成人した後は、年間110万円までの非課税贈与枠を利用し、孫名義で新NISA口座での運用を促すことも有効な選択肢となる。
新NISAは、世代を超えた資産形成の手段としても有効な手段と言える。
新NISAのメリット
新NISA制度のメリットは、投資で得た利益に税金がかからない点である。
通常、配当金や値上がり益には約20%の税金が課されるが、新NISAを活用すれば非課税となり、効率的な資産運用ができる。
2024年にスタートした新NISA制度では、さらに制度内容が充実し使い勝手が良くなった。
まず、従来は「つみたてNISA」と「一般NISA」のいずれかしか選べなかったが、新制度では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方が併用できるようになった。
年間投資可能額はそれぞれ120万円、240万円で、合計360万円まで非課税で投資ができる。
また、非課税期間が無期限となり、運用タイミングを自分のペースで決められるのも大きな利点である。
さらに、非課税保有限度額も1,800万円まで引き上げられ、枠の再利用も可能となった。
このような制度であることから60代でも柔軟な運用ができ、非課税メリットを十分に活かした資産形成が実現できる。
60代は新NISAの「つみたて投資枠」から始めよう


新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2種類がある。60代は、つみたて投資枠から始めるのがおすすめだ。
この章では「つみたて投資枠」の特徴と活用すべき理由を解説する。
つみたて投資枠の特徴
つみたて投資枠は、長期・分散投資を支援するために設けられた非課税制度である。制度の対象となるのは、日本に住む18歳以上の個人であり、1人1口座が原則だ。
つみたて投資可能枠は年間120万円までで、非課税期間は無期限となっている。購入できる商品は、投資信託だ。
ただし、金融庁が定めた一定の条件を満たす投資信託に限定されており、手数料が低く長期運用に適したものが選定されている。
そのため、対象銘柄数は250程度に絞られているため、適切なものを選びやすい。
成長投資枠と比べ、安定した長期運用を目指す性質が強く、投資初心者や計画的に資産形成をしたい方にとって利用しやすい制度と言えるだろう。



手数料が低く、分散効果が期待できる投資信託が厳選されているため、初心者や投資に不安がある60代にも安心して始めやすいです。
長期運用を見据えた設計なので、老後資金づくりにも適しています。
つみたて投資枠のメリット
つみたて投資枠は、「安定的な資産形成を実現しやすい」という強みがある。まず、定期的に一定額を投資する仕組みであるため、相場の動きを気にする必要がない。
「買いのタイミング」に迷わず投資を続けられるため、資産運用に時間を割き、頭を悩まさずに済む。
他にも投資枠で利用できる投資信託は、運用のプロによって管理され複数の資産に分散投資されるため、リスクを抑えながら着実なリターンを目指せる。
加えて制度上選べる銘柄は、金融庁が長期の積立に適すると認めた投資信託に限定されているため、初心者でも安心して始めやすい。
このように制度の特性を理解し継続的に活用することで、資産形成において大きな効果が期待できる。
つみたて投資枠が60代におすすめの理由
つみたて投資枠は、退職金や年金だけでは不安な老後資金を補完する手段となる。そのため、新NISAでの運用を考える60代の方にぜひおすすめしたい。
平均寿命が伸び続ける現代では、60代はまだ20年以上の資産運用期間が残されており、つみたて投資枠の非課税メリットを十分に活用できる。
つみたて投資枠で選べる分散投資型の商品は、過度なリスクを避けつつも一定のリターンを期待できるため、リスクをあまりとりたくない方にも向いている。
また、まとまった資金を一度に投資することに不安を感じる場合でも、つみたて投資枠なら毎月少しずつ投資できるため取り組みやすい。



毎月の生活費を圧迫しない範囲で、無理なく投資を継続できるのがつみたて投資枠の強みです。生活と両立しやすく、長期的な安心感につながります。資金に余裕があるときだけ増額する柔軟な運用も可能です。
さらに、計画的につみたて投資を続ければ子や孫の教育資金や結婚資金など、将来の特定目的のために計画的に資産を形成できる。
家族全体の資産設計における重要な役割を果たすこともできるだろう。
【シミュレーション】60代は新NISAで毎月いくら積立する?


新NISAで積立投資をする際に悩ましいのが「月いくらにするべきか」ということだ。
ここでは、適切な積立額を考える方法やコツ、具体的な運用成果のシミュレーションについて説明する。
資産全体と余裕資金を把握する
毎月いくら投資するかを考える際は、まず自身の資産全体と今後の資金の使い道を整理することが大切だ。
退職金や預貯金がどのくらいあり、今後の生活費や医療費、住まいの修繕費、旅行代など、老後の楽しみに使いたい費用がどれだけあるかを確認してみよう。
新NISAは長期の資産形成に向いた制度だが、60代から始める場合は、「しばらく使う予定のない資金」を活用するのが基本となる。
万が一のための生活資金はしっかり現金で残し、そのうえで月々の年金や収入の中から、負担にならない金額を積み立てるとよい。
たとえ少額でも、長期で運用することでゆるやかに資産は育つ。まずは家計を見直し、安心できる金額から始めてみよう。



投資に回せる金額は人それぞれ異なります。老後の生活費や緊急時資金を確保したうえで、無理のない範囲で始めることが長く続けるための大前提です。焦らず、自分に合った金額設定を意識しましょう。
積立額を決めるポイント
積立額を決めるときに心がけたいのは、「無理をしない」ことである。
60代は生活スタイルの変化とともに支出も多様化しやすい。自宅で過ごす時間の増加により光熱費の上昇や趣味や余暇活動への出費、さらには住居のリフォームや医療費の発生など、思わぬ支出が重なる可能性がある。
そのため、運用に回す金額は必ず余裕資金の範囲にとどめ、生活に必要な資金や緊急時に備える資金は手元に残しておくことが大切だ。
さらに、積立額はライフステージの変化に応じて見直すことも必要である。
新NISAの積立額は投資開始後も変更ができるため家計に余裕があるときは増額し、出費が重なる時期には減額するなど柔軟に対応してほしい。
特に退職や介護、相続といった大きな転機が訪れたときには、改めて積立額と資産配分の見直しを検討しよう。
積立投資額別の運用シミュレーション
毎月の積立額別に、年利3%で運用した際の資産額推移を見てみよう。1年・3年・5年・10年ごとにシミュレーションを行うと次のような資産額になる。
積立金額別資産額の推移(年3%で運用した場合)
1年後 | 3年後 | 5年後 | 10年後 | |
---|---|---|---|---|
月3万円 | 約369,000円 | 約1,139,000円 | 約1,971,000円 | 約4,220,000円 |
月5万円 | 約615,000円 | 約1,899,000円 | 約3,286,000円 | 約7,034,000円 |
月10万円 | 約1,230,000円 | 約3,798,000円 | 約6,573,000円 | 約14,068,000円 |
このシミュレーションからもわかるように、たとえ月3万円という少額の積立であっても、10年間続けることで400万円を超える資産に成長する。
これが「複利の力」と呼ばれるもので、運用益を再び投資に回すと時間とともに資産が雪だるま式に増えていく仕組みだ。
また、月5万円・10万円と積立額を増やせば、資産の成長スピードはさらに加速する。とはいえ、重要なのは「金額の多さ」よりも「長く続けること」である。
短期間で一気に増やそうとせず、コツコツと積立を続けることで、将来の安心につながる資産を築ける。



複利効果を活かすには「継続」が鍵です。月々の金額が少なくても、投資を止めずに続けることで将来のゆとりある生活に近づきます。
まずは無理のない金額でスタートしてみましょう。生活環境の変化に応じて柔軟に調整することも大切です。
60代向け「つみたて投資枠」におすすめの銘柄と選び方


つみたて投資枠の投資対象となっているのは、国が指定している投資信託だ。
ある程度銘柄が厳選されているものの、どのような商品を選べば良いのだろうか。ポイントを見ていこう。
つみたて投資枠の銘柄選びのポイント
つみたて投資の銘柄選びでまず注目したいのは「手数料」である。つみたて投資は長期間にわたって継続するため、運用コストが結果に大きな影響を与える。
信託報酬が低い商品を選ぶことで、手元に残る資産を最大化できることから、商品の概要を必ず確認しておこう。
次に、投資対象の地域についても検討が必要だ。
国内に限定するか、成長性の高い海外市場を含めて分散するかでリスクとリターンのバランスが変わってくる。
迷った時は、世界全体に分散投資する銘柄を選ぶことで、一国の景気に左右されにくい安定した運用が期待できるため検討してほしい。
加えて、投資初心者には「インデックスファンド」がおすすめである。
インデックスファンドは市場全体の動きを反映するよう設計された投資信託で、運用コストが低く、安定的にリターンを得やすいというメリットがある。
運用時の調査費用や人件費を抑えられ、手数料が安く設定されているため長期運用にも向いている。



60代の方にとっては、資産を大きく増やすよりも、安定して維持・育てることが重要です。インデックスファンドは価格変動リスクを抑えながら、将来の資金確保を目指す運用に適しています。
つみたて投資枠のおすすめ銘柄
具体的にどのような銘柄が良いのか、60代におすすめのつみたて投資枠銘柄を紹介する。
安定的な運用が期待できるインデックスファンドを中心に紹介しているため、投資先選びの参考にしてほしい。
1.eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
基本情報 | 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 米国株式・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬(※) | 0.0814% | |
特徴 | 米国経済を支える企業500社に分散投資できる王道インデックスファンド |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は米国の株式を代表する指数S&P500への連動を目指すインデックスファンドだ。
ベンチマークのS&P500は米国上場の銘柄の中でも幅広い業種の主要企業で構成されている。
NYダウ工業平均30も有名だが30銘柄と少ないため、たくさんの企業に分散するならS&P500の方が良いだろう。
S&P500を構成する企業群は米国だけでなく世界をリードする企業ばかりだ。そのため投資信託に安全性・実績をより求める人におすすめの銘柄である。
2.eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
基本情報 | 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 先進国・新興国株式(広域)・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.05775% | |
特徴 | 世界経済全体の成長を一本で享受できる分散型インデックスファンド |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、米国の株価指数であるMSCI ACWIに連動する投資成果を目指すインデックスファンドである。
日本を含む先進国と新興国の株式に幅広く分散投資ができるのが特徴だ。
株式のみで構成されているが国も業種も広く分散されておりリスクを抑えつつ、世界経済の成長を享受できる。
ネット証券の買付ランキングでも上位によくランクインしている人気銘柄で、長期・積立・分散投資に向いている。
3.楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド
基本情報 | 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 米国株式・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.077% | |
特徴 | 米国経済の成長を低コストで取り込める長期投資向けインデックスファンド |
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドは、米国へ100%の投資を行う投資信託である。
S&P500をベンチマークにしていて、これと連動する運用成績を目指すインデックスファンドだ。
よく似た商品であるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)より信託報酬がより低いため、コストを長期的に抑えたい人はこちらを検討すると良いだろう。
積立投資で長期の資産形成を始める方の最初の入り口としておすすめの銘柄である。
4.iFreeNEXTFANG+インデックス
基本情報 | 運用会社 | 大和アセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 米国株式-為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.7755% | |
特徴 | 米国テック業界10社に集中投資する高リターン型ファンド |
iFreeNEXTFANG+インデックスは「NYSE FANG+指数」との連動を目指す投資信託だ。FANGはフェイスブック(Meta)、アマゾン、ネットフリックス、グーグルのアルファベット頭文字を表している。
この4企業に加えてアップル、マイクロソフト、エヌビディアなどを含む10社で構成された指数である。
これらの成長性の高い企業に集中投資することでより高いリターンを期待できる。
5.楽天・全米株式インデックス・ファンド
基本情報 | 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 米国株式・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.162% | |
特徴 | 米国株式市場全体をカバーする広範囲分散型インデックスファンド |
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、低コストで米国の株式市場全体に幅広く分散投資ができる投資信託である。
運用成果は米国を代表するS&P500指数に加えて、中型・小型株まで含めた合計約4,000銘柄で構成されている「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」という指数と連動することを目指している。
幅広い米国株式市場に投資ができるため、米国株式の小型株まで含めて投資をしたい方に向いている。



中小型株も含めた全米株式への分散投資は、成長性と安定性のバランスを取りたい60代におすすめです。
低コストで米国全体の経済成長を取り込める点が長期運用にも適しています。値動きに一喜一憂せず、継続が重要です。
60代は新NISA「成長投資枠」の併用もおすすめ


積立投資枠である月10万円を超える投資をしたい方は、成長投資枠も活用し、非課税優遇のメリットを最大限活用しよう。
ここでは成長投資枠の強みや活用方法について解説する。
成長投資枠の特徴とメリット
成長投資枠は資金に余裕があり、より大きな運用成果を狙いたい場合にぜひ活用したい投資枠だ。
つみたて投資枠が積立専用かつ投資信託に限定されているのに対し、成長投資枠では個別株やETFなど、より幅広い商品に投資できる。
積立投資枠よりも多い年間240万円まで非課税で投資できる枠も設けられており、まとまった金額を一括で運用したい人に向いている。
また、成長投資枠では都度購入が可能で、気になる銘柄が値下がりしたタイミングなど、自分の判断で自由に購入時期を選べるのも大きなメリットだ。
さらに、個別株に投資すれば、配当金や株主優待を受け取ることもできる。資産の成長だけでなく、定期的な収入や商品、サービスの獲得など日々の楽しみにもつながる効果が期待できる。



成長投資枠はつみたて枠より自由度が高い反面、値動きも大きくなる可能性があります。資産の一部を割り当てる形で取り入れることで、生活資金を守りつつリターンを狙うバランスが取りやすくなります。
成長投資枠で投資できる商品
成長投資枠の投資対象商品は、つみたて投資枠と異なり幅広い。次のような資産が対象だ。
1.投資信託
成長投資枠でも投資信託は利用可能で、少額から始められる手軽さが魅力だ。
つみたて投資枠よりも選べる商品の種類が多く、株式型、債券型、不動産特化型など自分の投資方針に合わせて選択できる。
金融機関によっては1万円程度から投資できるため、初心者でも始めやすく、運用の仕組みを学びながら取り組める。
初心者から中級者まで幅広く活用できる投資先だ。
2.国内株式
成長投資枠では、個別の国内株式への投資ができる。
株価が上昇すれば売却益を狙えるだけでなく、企業からの配当金や株主優待も受け取れるのが特徴である。
特に配当金は定期的な収入源にもなり、株主優待も生活に役立つことが多い。
銘柄は大手企業から成長性の高いベンチャーまで幅広く、自身で企業分析をしながら「将来性のある会社」に投資できる楽しさもある。
身近な企業に投資することで、経済ニュースへの関心も高まり、日常生活との接点も増えていくだろう。
3.外国株式
新NISAの成長投資枠は、米国株をはじめとした外国株式も対象だ。世界的に事業を展開する企業は成長性が高く、株価の上昇幅も大きい傾向がある。
また、日本にはない高頻度・高利回りの配当制度も魅力で、新NISAの非課税枠を活かしやすい。
為替の影響も受けるため、為替相場の変動に上手く対応できればより大きな利益が狙える点もポイントだ。



外国株は魅力的な反面、為替リスクや国ごとの経済変動も加味する必要があります。60代の方は、過度な集中を避け、信頼できる企業や分散されたファンドを選ぶことが安定運用への第一歩です。
4.上場投資信託(ETF)
ETFは株式市場に上場している投資信託を指す。通常の投資信託とは異なり、取引所でリアルタイムに売買できるため利便性が高い。
価格を指定した売買も可能で、タイミングを見て機動的に投資をしたい人にとって有力な選択肢となる。
5.上場不動産投資信託(REIT)
REITは、オフィスビルや商業施設などの不動産に間接的に投資できる商品である。
実物の不動産を買うには多額の資金が必要だが、REITなら1口あたり1万円前後から投資可能だ。
家賃収入や物件売却益が分配金として還元される仕組みで、定期的な収益を期待できる。
運用や物件管理はプロが行うため、手間をかけずに不動産投資のメリットを享受できるのが魅力だ。
成長投資枠の活用方法とおすすめ銘柄
成長投資枠の運用の仕方は2つの方法がある。
- つみたて投資枠と同様の商品で投資し、特定銘柄の資産を増やす
- つみたて投資枠とは別の投信を選び、分散効果を狙う
自身の運用戦略にあわせて選ぶと良いだろう。



60代の方が成長投資枠を活用する際は、つみたて枠とのバランスを考えることが大切です。守りの資産をベースに、余裕資金の一部で成長投資枠を活用することで、無理のない資産形成が可能になります。
ここでは成長枠投資でおすすめの銘柄を紹介する。
幅広い投資ニーズに応えられる商品を選定しているため参考にしてほしい。
1.楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
基本情報 | 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 米国株式・為替ヘッジ無し・分配金あり | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.192% | |
特徴 | 配当利回りと安定性を兼ね備えた米国優良企業に投資できる配当特化型ファンド |
楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は、10年以上連続で配当金を出している優良な米国企業約100社に投資する投資信託だ。
配当利回りとリターンが優れていることで話題となっている。
投資先にはSCHD(シュワブ米国配当株式ETF)という人気の米国ETFが含まれている。
SCHDは国内の証券会社で直接買うことはできず、投資信託を通じてのみ投資できるため注目が集まっている。
2.eMAXIS Slim先進国株式インデックス
基本情報 | 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 先進国株式(広域)・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.09889% | |
特徴 | 先進国への幅広い分散投資を実現する低コストインデックスファンド |
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、低コストで海外先進国に分散投資できる銘柄である。
先進国と言っても米国株が全体の7割超を占め「全米株式」と値動きが近い。
分配金は出さず、株式から得られた配当をファンド内で再投資するので、効率良く資産形成が可能だ。
日本国内や新興国への投資を除いて、米国を軸にした投資をしたい方に向いている銘柄である。
3.楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
基本情報 | 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 先進国・新興国株式(広域)・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.0561% | |
特徴 | 先進国から新興国まで世界全体への投資を実現するインデックスファンド |
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、日本を含んだ全世界に投資する。
業界最低水準のコストを目指しており、積極的な信託報酬の引き下げを行っている。低コストで安定的な運用ができる、と投資家から評判の良いインデックスファンドだ。
また、保有していると残高に応じて楽天ポイントが還元される特典があるのも見逃せない。
運用益以外のメリットも享受しながら長期投資へのモチベーションにつなげたい人におすすめだ。
4.<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
基本情報 | 運用会社 | ニッセイアセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 先進国株式(広域)・為替ヘッジ無し | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.09889% | |
特徴 | 徹底した低コスト運用で10年連続資金流入を実現中のインデックスファンド |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、リーズナブルな手数料で先進国株式への投資ができる歴史ある投資信託だ。
日本を除く主要先進国の株式に投資し、MSCIコクサイ・インデックスに連動する投資成果を目指す。
徹底的に「低コスト」にこだわり続け、これまで7度にわたり信託報酬の引下げを実施した。
その結果2013年12月の設定以来、10年連続で資金流入という実績を誇り、長期の資産形成をめざす投資家に支持されている。
5.三菱UFJ 純金ファンド
基本情報 | 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
---|---|---|
主な投資先や運用方法 | 金関連・為替ヘッジ有り | |
購入時手数料 | なし | |
信託報酬 | 0.99% | |
特徴 | 市場混乱時に強みを発揮する資産防衛効果の高い金投資ファンド |
投資信託を通じて、金へ投資することも可能である。三菱UFJ純金ファンドは、金現物への投資を通じて金価格への連動をめざす投資信託だ。
金は株式や債券とは異なる値動きをするため、分散投資効果が期待できる。またインフレ対策にもなるため、長期に保有すると安定試算になる。
インデックスファンドに加えて、金の資産を保有しておきたいという方におすすめである。
60代の新NISA活用術|無理なく運用するためのコツと注意点


あらゆる年代で使いやすい新NISAだが、60代にふさわしい戦略がある。
より新NISAを効果的に利用するためのポイントを見ていこう。
リスクを抑えた積立投資がおすすめ
60代の投資で心がけたいのは「リタイア後の生活を安心して楽しむために、資産の寿命を延ばす」ということだ。
高いリターンを狙うよりも、資産を守りながら着実に増やしていく運用が理にかなっている。そのため、リスクを抑えた積立投資が有効と言えるだろう。



60代は資産を守りながら増やすステージ。リスクを抑えた積立投資は、精神的な安定にもつながります。無理のない金額からスタートし、相場の波に左右されずにコツコツ続ける姿勢が最も効果的です。
「もう60代だから早く結果を出したい」と焦る必要はない。定年後も10年、20年といった長期の運用期間が確保できる。
時間を味方につけ、価格変動の影響を抑える「時間分散」を意識して積み立てていくことで、安定した資産形成が可能だ。
また、長期の積立投資は、短期的な値動きに一喜一憂しにくくなるため、精神的にも安心できる。焦らず、じっくり育てる姿勢が大切だ。
取り崩しながら運用を続ける
資産運用では、「増やす」だけでなく「使う」視点も欠かせない。
資産を取り崩さずに運用を続けると、亡くなる直前が最も資産が多い状態になってしまい、老後資金を十分に活用できない可能性がある。
健康状態や資産の状況を踏まえて、何歳からどの程度のペースで取り崩すかをあらかじめ考えておこう。
取り崩し額後の資産寿命をシミュレーションしておけば、「いつまで使えるか」が可視化され、計画が立てやすくなる。
資産を上手に使いながら、残りの資産も無理なく運用し続けるというバランスが、安心した老後の生活を支えるカギとなるのだ。
損益通算・繰越控除ができない点に注意
新NISAは非課税で運用できるメリットがある一方で、損失が出た場合の税制上の救済が受けられないという注意点がある。
通常の課税口座であれば、他の投資で得た利益と損失を相殺する「損益通算」や、損失を翌年以降に持ち越して節税に活用する「繰越控除」が可能だ。
しかし、新NISAではこれらの制度が適用されない。つまり、損失が出ても税金の軽減効果を得られず、そのまま損失として確定してしまう。
だからこそ、新NISAではリスクの高い投資を避け、安定的な商品でコツコツ運用していくことが重要である。
税制メリットを最大限に活かすには、損失を出さない慎重な運用姿勢が欠かせない。



新NISAでは損失を他でカバーできないため、慎重な銘柄選びが必要です。信託報酬や価格変動の安定性に注目し、なるべく堅実な商品を選ぶことで、非課税の恩恵を安心して長期的に享受できます。
60代からでも新NISAを始めるべき!悩みは専門家に相談しよう


60代の新NISA戦略について解説してきたが、「まだ不安だ」「何から始めればいいのか分からない」という方もいるだろう。
そんな時は、資産運用のプロに相談しサポートを受けるという方法もある。ここからは、新NISAを専門家に相談するメリットや探し方について解説する。
新NISAの悩みを運用の専門家に相談すべき理由
「成長投資枠」で利用できる銘柄は約2,000種類あり、どれが自分に適しているかを判断するのは困難を極める。
「つみたて投資枠」の商品は250程度に絞られているが、それぞれの違いが分かりにくく、選定に時間がかかることが多い。
さらに、投資先を1つに絞るか複数を組み合わせるか、投資先の重複やリスク分散も考慮しながらポートフォリオを構成する必要がある。
こうした場面では、資産運用の専門家に相談することで、自分に合った商品選びやバランスの取り方について適切なアドバイスを受けられる。
運用の専門家は、新NISAでの資産形成を安心かつ効果的に支える存在となるだろう。
新NISAを専門家に相談するメリット
新NISAを始めるときは資産運用の専門家に相談することで、安心して一歩を踏み出せる。
口座開設や書類の手続きなど、慣れない作業も丁寧にサポートしてくれるため、複雑に感じる部分をスムーズに進められるだろう。
投資商品の選定も、自分に合った選び方やリスクの捉え方をわかりやすく教えてもらえるため安心だ。
老後資金として「何に・どのくらい・いつまで」投資すればよいかといった計画づくりも、専門家と一緒なら具体的かつ現実的に考えられる。
万が一の相場が荒れる事態があっても、冷静に対応できるようプロが支えてくれるのも心強い。
これからの試算に関して信頼できる相談相手がいることで、将来への不安を少しずつ安心に変えていけるだろう。
運用の専門家探しなら「資産運用ナビ」
資産運用について専門家からアドバイスを受けたいとき、自分に合った相談相手をどのように見つければ良いのだろうか。
そこで活用したいのが、運用の専門家を検索できるサービス「資産運用ナビ」である。
資産運用ナビでは、地域や相談内容に応じて適した担当者を検索できる。
各専門家の得意分野や保有資格、経歴に加えて、担当している顧客の年齢層や資産額なども確認できるため、自分に近い顧客との相談実績があるかどうかを見極めやすい。
気になる専門家がいれば、そのまま直接相談を申し込むことも可能だ。
面談は無料で行えるため、複数のアドバイザーと話しながら相性を見極めることもできる。自分に合った運用パートナーと出会うために、「資産運用ナビ」の利用を検討してみてはいかがだろうか。
60代の新NISAは運用の専門家と共に始めよう


本記事では、60代の新NISAの始め方や無理なく運用するためのポイントについて解説した。
60代からでも、新NISAは十分に活用する価値がある。
毎月少額でも早めにスタートすることで、将来的には大きな資産形成につながるため積極的に取り組んで欲しい。
そして資金に余裕が出てきたら「成長投資枠」にもチャレンジし、より高いリターンを目指すのもよいだろう。
ただし、若い世代と異なり、60代は「まず経験」ではなく「事前の戦略」が必要不可欠だ。
運用額の設定や銘柄選び、売却のタイミングまで、納得できる計画を立ててから始めたい。
そのためにも、信頼できる専門家への相談も検討してほしい。自分に合った運用アドバイザーを見つけるには「資産運用ナビ」が効率的だ。
心強いパートナーのサポートを得て、安心の新NISA運用を実現していこう。



専門家に相談することで、将来の収支バランスやリスク許容度に応じたプラン設計が可能になります。客観的な視点で判断を支えてもらえるため、不安を抱えず安心して新NISAに取り組めるでしょう。